結節性甲状腺腫の治療方法

治療方法

結節性甲状腺腫の手術は、良性の場合は腫瘍の大きさや数、悪性の場合はできている場所やリンパ節転移などにより甲状腺の切除範囲を決めます。当院では、癌の再発や転移の危険度が高い人や遠隔転移のある人に対して、術後、大量の放射性ヨウ素内用療法ができる専用の放射線治療病室を持っています。

以下の場合には、一般的に手術が必要です

①良性でも腫瘍が大きく、食道や気管への影響がある方
②腫瘍が小さくても、悪性、または悪性の疑いがある方
③腫瘍から甲状腺ホルモンが過剰に作られている方

内視鏡補助下頸部手術(VANS法)

最近では、甲状腺の病気でも内視鏡補助下頸部手術(video-assisted neck surgery, VANS法)が導入されています。なぜなら甲状腺の病気は女性が大半を占め、頚部手術で常に見える場所に残る手術の傷は、美容上切実な問題でした。

内視鏡補助下手術は限られた甲状腺の病気に行なわれますが、開襟衣類の隠れる位置に小さい傷ができる程度の手術です。

PEIT

最近よく行なわれるのがペイト(PEIT)という治療方法で、甲状腺嚢胞に対しての穿刺吸引、縮小させてからエタノールを注入し、嚢胞を消失させる治療方法があります。2002年4月から、健康保険が適用されるようになりました。

甲状腺乳頭癌
PTC(papillary thyroid cancer)

甲状腺悪性腫瘍の85%以上を占め、甲状腺濾胞細胞に由来します、比較的予後良好でリンパ行性転移を示します。90%以上は、FNAC(穿刺吸引細胞診)で診断可能です。

好発転移部位 頸部リンパ節,肺,骨など
治療 ①手術
②high risk群と遠隔転移群には術後放射性ヨウ素内用療法
標準手術術式 ①甲状腺峡葉切除術, 頸部リンパ節郭清(D1-D2)
②甲状腺(準)全摘術, 頸部リンパ節郭清(D1-D3)

甲状腺濾胞癌
FTC(follicular thyroid cancer)

甲状腺悪性腫瘍の約7%前後で, 甲状腺乳頭癌より予後不良です。 甲状腺濾胞性腫瘍の90%以上は良性です。
甲状腺濾胞細胞由来の腫瘍で甲状腺濾胞癌は血行性転移を示します。FNAC(穿刺吸引細胞診)での術前診断は困難で、術後の病理で確定診断となります。

好発転移部位 肺,骨,脳など
治療 ①手術 
②広範浸潤型と遠隔転移群には術後放射性ヨウ素内用療法
標準手術術式 ①甲状腺片葉切除術
②甲状腺全摘術

甲状腺髄様癌
MTC(medullary thyroid cancer)

甲状腺悪性腫瘍の1-3%前後で、 甲状腺傍濾胞細胞由来の癌でカルシトニンを分泌します。髄様癌は散発型(遺伝型ではない)と遺伝型(家族型)に分類されます。遺伝型髄様癌は、MEN2型(多発性内分泌腺腫症第2型:multiple endocrine neoplasia type 2)が主要構成の癌です。

 

好発転移部位 頸部リンパ節,肺,肝など
治療 手術
標準手術術式 ①甲状腺全摘術,頸部リンパ節郭清 (D1-D3):家族型
②甲状腺亜全摘術,甲状腺全摘術, 頸部リンパ節郭清 (D1-D3) :散在型  

甲状腺未分化癌
ATC(anaplastic thyroid cancer)

甲状腺悪性腫瘍の1-2%前後, 多くは, 甲状腺乳頭癌, 濾胞癌の未分化転化によって生じます。極めて予後不良で、50歳以上の高齢者に発生しやすいです。

好発転移部位 頸部リンパ節,肺,皮膚など
治療 ①手術 
②化学療法
標準手術術式 ①甲状腺全摘術,頸部リンパ節郭清 (D1-D3) 
②甲状腺生検

悪性リンパ腫
MLT(malignant lymphoma of thyroid)

甲状腺悪性腫瘍の2-3%, 橋本病よりを発症し、甲状腺原発のリンパ腫です。未分化癌との鑑別が重要になります。

治療 化学療法と放射線療法
日常生活のご注意

原因は不明のため、食事や運動など特に制限することはありません。手術後も、日常生活は普通の人と変わりありません。

甲状腺ホルモンが正常で腫瘍が小さく良性のようなら、3~6ヶ月に1度ずつ診察を受けて頂きます。また良性結節で甲状腺ホルモン剤を飲むと、腫れるのがおさえられる可能性がありますので、薬を服用し経過をみる治療方法もあります。