甲状腺病因検査:甲状腺自己抗体検査

びまん性甲状腺腫(バセドウ病や橋本病等)は、甲状腺にだけ特異的に見られる自己免疫疾患で、自分の甲状腺を異物とみなして甲状腺に対する自己抗体ができてしまう疾患です。

バセドウ病の場合: TSHレセプター抗体(TRAb)が出現し、そのTSHレセプター抗体(TRAb)が甲状腺を常に刺激し、必要以上に甲状腺ホルモンをつくってしまう。
橋本病の場合: 抗サイログロブリン抗体(TgAb)か抗甲状腺ペルオキシターゼ抗体(TPOAb)が出現し、そのTgAbとTPOAbが甲状腺を破壊し、徐々に甲状腺ホルモンがつくられなくなってしまう。

病因を特定するには、TSHレセプター抗体(TRAb)、抗サイログロブリン抗体(TgAb)、抗ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)の3項目の検査が必要です。

TSHレセプター抗体(TRAb)

甲状腺の細胞にあるTSHがくっつく所(TSHレセプター)に対する抗体です。 このTRAbは甲状腺のTSHレセプターにくっついて、常に甲状腺を刺激し甲状腺ホルモンをどんどん作らせてしまうので、バセドウ病の原因物質と考えられており正常の人は持っていません。 

バセドウ病を薬で治療すると、TRAb値は下がってきますが、バセドウ病の原因であるTSHレセプター抗体(TRAb)が陰性にならないと薬は中止出来ません。

抗サイログロブリン抗体(TgAb)

甲状腺にあるサイログロブリンという蛋白に対する自己抗体です。橋本病やバセドウ病では、この自己抗体が高く検出されます。

抗甲状腺ペルオキシターゼ抗体(TPOAb)

甲状腺ペルオキシターゼに対する自己抗体です。橋本病やバセドウ病では、この自己抗体が高く検出されます。

 

甲状腺の病気を診断するためには、甲状腺機能検査(TSH、フリーT3、フリーT4)と、甲状腺自己抗体検査(TRAb、TgAb、TPOAb)の全部で6項目の検査が必要となります。1回の採血ですべて測定する事ができますが、甲状腺の専門医でなければここまでチェックしないので、近くに専門医がいない場合は、内科や内分泌科で6項目を検査してほしいと申し出て採血を受けるとよいでしょう。

びまん性甲状腺腫 診断のための検査と結果

機能検査

 TSH
(甲状腺刺激ホルモン)
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症
甲状腺機能正常
 フリーT4
(フリーサイロキシン)
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症
甲状腺機能正常
 フリーT3
(フリーヨードサイロニン)
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症
甲状腺機能正常

自己抗体検査

 TRAb
(TSHレセプター抗体)
甲状腺機能亢進症 バセドウ病で陽性
甲状腺機能低下症 一部は陽性 
甲状腺機能正常 陰性
 TgAb
(抗サイログロブリン抗体)
甲状腺機能亢進症 バセドウ病で陽性
甲状腺機能低下症 橋本病で陽性
甲状腺機能正常 橋本病で陽性
 TPOAb
(抗甲状腺ペルオキシターゼ抗体)
甲状腺機能亢進症 バセドウ病で陽性
甲状腺機能低下症 橋本病で陽性
甲状腺機能正常 橋本病で陽性